【声のコンプレックス】方言の素晴らしいところ、誤解されやすいところ。
こんにちは。
高島友美です。
このブログでは、話すことや声に関してコンプレックスをお持ちの方へお伝えしたい情報を綴っています。
今日は「方言」についてです。
「方言」とは
それぞれに育ってきた環境で自然と幼い頃から身につく言語。
皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。
方言とは、共通語・標準語とは異なり、ある地方だけで使われる言葉を指します。
今は特にゴールデンウィーク真っただ中。
久しぶりに故郷へ帰ってきて、家族や友人と馴染みのある方言で話す…。
「ああ、やっぱり話しやすいなぁ」と感じている方も多いことでしょう。
その風土ならではの薫りを感じるほど温かみのある表現が多い、この方言。
地方出身者ならご理解頂きやすいと思うのですが…。
標準語が多い社会においては、時に人から「訛っている」と言われることもあります。
はい、しっかり私もそう言われ続けてきました。
初めに所属した事務所のレッスンでは、先生が絶句するほどの訛り。
一方、私にはその自覚がありませんでした。
今まで同じ言語を話していた地元を離れ、新しい生活の場での生活。
その中で「そのアクセントは間違っている」「その読み方はおかしい」と指摘された時のカルチャーショック…。
未だに忘れられません。
とはいえ、その時私は放送の世界を目指していた身だったので先生のご指摘はごもっとも。
ただ、言われた方としては何らかのコンプレックスを持ってしまいそうな事案だと感じましたので、記事にしていきますね。
方言は文化遺産
まず、お伝えしたいのは「方言は素晴らしいものである」ということです。
他人様から「訛っている」「方言が強い」と言われることは衝撃的なもの。
それが元となり、話すことに消極的になってしまう方もいらっしゃることでしょう。
ですが、方言はその地域に根付いて育まれた、とても感性がある言葉です。
現に「CDブック 声に出して読みたい方言(齋藤孝さん著)」の中では、方言は大変な文化遺産と表現されるほど。
「エセ関西弁」という言葉があるほど、出身地以外の方が真似してもすぐ習得できるものではないのです。
同じ方言で語り合うと、言葉の熱が上がりやすいと感じませんか?
方言には、表現力として抜群の効果があるように思います。
方言が招く誤解
一方、ビジネス面や共通語が一般的に使われる場では、方言が誤解を招くこともあります。
それは独特の言い回しや表現がその方言方言にあり、知らずに使い続けることでトラブルになることも。
(一例)
- 中部では「しんでもいいよ」は「しなくてもいいですよ」
- 金沢では「かわいや」は「かわいそう」
- 福井では「おっけ」は「してください」
- 近畿では「ほる」は「捨てる」、北海道では「なげる」が「捨てる」
- 島根では「ぶさいく」は「不器用」
- 高知では「のうが悪い」は「具合が悪い」 など
上記のように、方言の表現は実にバラエティー豊か。
地元を出て初めて「これって方言だったんだ!」が沢山出てきそうですね。
その分、良かれと思って使った言葉が、こちらが意図したものではないように受け取られてしまうこともあるのです。
そんなトラブルを回避するためには、まず自分の言葉の「方言率」を知ることです。
方法としては、
①インターネットで「○○弁 一覧」「○○弁 まとめ」などで検索。
②自分の中の「方言」を「共通語ではこのように表現する」ということを確認。
方言がどれくらいの割合で自分の言葉を占めているかを考えてみる。
もちろん、すぐには覚えられなくても大丈夫。
「私のこの言い回しは方言なんだ」ということを理解するだけでも意識が変わります。
ビジネスの場など、改まってお話したい時に「こんな風に表現すればいいんだ」という知識を少しずつ貯めていきましょう。
標準語を求められる方へ
また、方言はその地域によってイントネーションやアクセント、抑揚などが本当に様々。
職種によっては「標準語で話すこと」が求められる場もあると思いますが、苦労する方もいらっしゃると思います。
そんなお悩みをお持ちの方へ向けてのアドバイスは「とにかく【標準語を聴くこと】」です。
やはり一番のおすすめはNHKのニュース番組。
聞き取れる限り、追える限りで良いので、アナウンサーが伝える言葉を一文一句、口真似してみてください。
録画しておき、同じ番組の同じ個所を何度も繰り返し真似するのもおすすめです。
英語の上達にもリスニングが欠かせないように、共通語の上達にも「正しいアクセントの日本語」のリスニングが必要です。
地道な努力ですが、アクセントやイントネーションは体に落とし込むと、一生ものですよ。
また、昨今では日本語発音アクセント辞典もアプリになったりしています。
便利でいい時代になりました…。
私は重く分厚い辞書をいつも持ち歩いていたので(笑)。
方言と標準語を二刀流で
先ほど、正しいアクセントやイントネーションは覚えると一生もの、と書きました。
そして加えてお伝えしたいこと。
方言をお持ちの皆様には方言の良さを理解して、方言と共通語を上手く二刀流で使い分けて頂きたいなということです。
あなたらしい方言を出すことで、思いが伝わりやすく、その感性が伝わりやすくなることもあるでしょう。
標準語で話したい時には少し切り替えて話す、でも打ち解ければぽろりと方言が出る方…。
私はとても魅力的に感じます。
近頃は方言そのままで話すミュージシャンの方も話題になっていますね。
「方言があるっていいな」と、昔とは違った捉えられ方もされています。
自分の育ってきた地域の方言にも胸を張り、ここぞという時には標準語を上手く操れることを目指しましょう。
アクセントやイントネーションに関するご相談も承っております。
詳しくはこちらのページをご覧ください。